新天地

思考を止めるな

愛は還さなくても

返せないものがある。あの子とケンカしてそのまま持ってるDVDやきみのお古のトップス、うちに置きっぱなしのあいつの歯ブラシとか 返さなきゃいけなかったけど めんどくさがって動かなかったけど わたしの大事なものを入れられるカバン、あんまり大きくないんだよね。

 

大学に入ってから忙しいばっかりであんまり会ってくれなくなったじゃん、仕方ないってわかってるし、そんなんでなにも崩れないかもだけど、さみしかったよ そんなこと言えるわたしはきみの前では消えてなくなるけどね、グラスの中の炭酸と一緒に飲み込んだ。わたしのなりたかったオトナってこんなんだったっけ? きみの大事にしたいカバンの中にわたしの場所はとうになくって、それが酷く歯痒かった。まあね、女の子はいつも、彼氏に取られちゃうもん。

 

欲望や不満を解消する術がオトナ特有のものになっただけの子供なんて、さいあく。

あーもう、誰かのことを無性に傷付けたくなって、傷付けたくなんかなくて、わたしたぶんいまいっぱい大事なものがあるの、だから返すね。さよなら!